無題。

良かった。本当に良かった。


今日は朝早くから福島行きのバスに乗る。
目指すは福島競馬場京都競馬場では菊花賞が行われるので、同じ夢を持っている人たちと感動を分かち合いたかった。
そう、無敗の二冠馬ディープインパクトの三冠伝説最終章。
朝の福島競馬場は人はまばら、といっても第1Rからいつもより多くの人が来ていた。
会場もいつもより早かったのか、すんなり入ることができた。
緊張をほぐすために福島の馬券を買った。でもとことん外れる。
仕方ないのでディープの単勝を買う。これはお守り。
メイン第11Rを控えた第10R。また外れた馬券を見て思った。
ディープが勝つために必要な運を京都に向けて送っているのかな。
実際そんなことは無いんだけど、とりあえず外に出てターフビジョンを見守る。
ちょうど、福島では虹。朝方は雨が降ってたっけ。
この虹はディープの目に映ったのだろうか。
虹の色は7色。ディープインパクトはこれまで6戦6勝。足りない色を今日、付け加えてくれ。
そしてターフビジョンに写る京都競馬場。人がたくさんいる。
スターターの旗が振られ、いよいよスタート前のファンファーレ。
スピーカーから流れる手拍子、そして僕らも、周りの人みんなも、手拍子をしてディープの三冠を祈る。
歓声が起こり、そしてしばしの静寂。
スタートが切られた。
ディープは珍しく好スタート。
馬群やや外目中段につける。
いつもより前の競馬、周りに囲まれるディープ。
さらに向こう正面直線でかかり気味に前を追う。
ざわめく京都競馬場、そして福島も同様。
二周目に入って、ディープの外が開いた。
これはチャンスかもしれない。
そして3コーナー。前とはまだ10馬身ある。よぎる不安。
届かないんじゃないか。
多くの人が思った、4コーナー直線。
しかし。
しかし、ディープは直線で大外から一気に前の馬に迫る。
届け、届いてくれ。





歓声が、一層大きくなった。
無敗の、三冠馬の誕生。
誰もが願った、栄光。
あのシンボリルドルフ以来の、快挙。
誰もが酔いしれた。
その場に立ち尽くす者ばかり。


ありがとう、ディープインパクト
そしてこれからも、無事で、強い馬であってほしい。
さらに僕たちの、そして若き英雄の、夢は続く。