感想

フェルマーの最終定理は1637年ごろ生まれ、証明が1995年、358年の時を経てようやく証明された。
本書では数学の歴史、紀元前233年から辿って証明までの道のりを辿っている。
証明自体は難解ではあるが、20世紀のテクニックをふんだんに使い、なおかつこの紀元前からの数学の源流が生かされているという、美しいものとなっている。
しかしこの本の中には厄介な数式が頻繁に出てくると言うことではなく、一つの歴史ドキュメントとして誰でも読むことの出来る名著である。
私自身は幼少の頃から特に数学には興味を持っており、フェルマーの最終定理のことは中学生の時点で知っていた。
もはやそのときは解かれていたが、予想そのものが容易に理解できること、無謀にも、恥ずかしいことに「自分でも解けるのではないか」と言うことまで考えるということを含めて非常に興味を持たされていた。
しかし、フェルマーに関する本を見るうちで様々な数学者が挑んでは失敗した、と言う歴史があったことを知って驚いた。
そのうち高校から大学に進学するうちに文系に進んだため数学からはやや距離を置いたが、大学に進みふと書店でアルバイトをしているときにこの本を発見。
フェルマーの最終定理が歴史を追ってどう扱われていたか、という点で詳細であったため、すぐに引き込まれた。

数学に興味がある人、フェルマーの最終定理という名前を聞いたことがある人にも読んで欲しい。どのような人が挑んで、どういった歴史があったのかを知るには絶好の機会であるし、著名な数学者が多く出てくるので聞いた事のある名前もよく登場する。
いや、読むのは二回目であったが、恐れ入ったというほかない。